いろいろなアレルギー対策 アトピー性皮膚炎対策

アトピー性皮膚炎のスキンケア

アトピー性皮膚炎患者のドライスキンは、保湿を目的とした外用薬やクリーム、ローション、又、保湿効果を持つ入浴剤を使用することで、痒みと乾燥症状が改善することが知られています。刺激の少ない石鹸やシャンプーを使用すると皮疹が改善する補助的な効果をもつこともよく知られています。

スキンケアの役割は 1.皮膚を清潔に保つこと 2.適度な水分を補うことで乾燥や肌荒れを防ぐこと 3.紫外線を防ぐこと

1.皮膚を清潔に保つこと

汗や汚れや刺激物質、また、アレルゲンや微生物を除去することは、アトピー性皮膚炎のスキンケアの第一歩です。手洗い・シャワー・入浴・おしぼりで拭き取るなどがあります。

AD患者は健常人に比べて頭皮の皮脂量も少なく,シャンプーによる刺激も受けやすいため,汗をかく季節は2日に1回シャンプーを使って洗髪し,あとの1日は湯で洗うことをすすめます。汗をかかない季節では2日に1回シャンプーします。シャンプーは少なめにとり,よく泡立てて頭皮に付け指腹でやさしく洗う。シャンプー後はリンスを使用します。リンスは少なめにとり地肌ではなく毛髪につけ,その後シャワーでよく濯ぎます。リンスは静電気を防止し,頭髪のすべりを良くし,ごみがつきにくくなる効果があります。

リンスは静電気を防止し,頭髪のすべりを良くし,ごみがつきにくくなる効果があります。なお,シャンプー・リンス剤を顔やうなじに残さないように洗髪後に充分洗い流すことが大切です。洗髪後はドライヤーで乾かすと皮膚も乾燥ますから,タオルでていねいに拭いたあと,自然乾燥させてください。ドライヤーを使用する場合は温度を低めにし,半乾きの状態でやめることをすすめます。

洗顔はまず微温湯で洗ったあとに,手のひらで洗顔料や石鹸を充分泡立ててから,その泡を顔につけてなでるようになじませます。湿疹のある乳児の顔を生地のしっかりしたガーゼで洗うと,皮膚を擦ることになり,湿疹を悪化させることがあります。手でやさしく洗ってください。石鹸や洗顔料はよく洗い流し,洗顔後は柔らかいタオルで顔を押さえるように水分を吸い取りましょう。洗う時に強く擦らないことがポイントです。

体も石鹸や洗浄剤を手のひらで泡立ててなでるように洗いましょう。ナイロンタオルやボデイーブラシは刺激が強いので使わせないでください。炎症のひどい時は石鹸の泡をつけるだけでシャワーで洗い流してください。石鹸を使わず強い水流のシャワーだけでもある程度の汚れはとれます。

2.適度な水分を補うことで乾燥や肌荒れを防ぐこと

清潔のスキンケアのあとに、とれてしまった水分と油分を補うことがアトピー性皮膚炎のスキンケアには重要です。炎症のある場合はステロイドあるいはタクロリムス外用薬を塗布するが、炎症が十分に治まったあとのドライスキンには、保湿剤を含有する医療用医薬品や一般用医薬品、スキンケア製品を使用し、皮膚の生理機能の補正を行います。

尿素は角層中に浸透し角層蛋白の水結合性を増加し,角層表面をやわらかくする効果があります。ヘパリン類似物質はムコ多糖の多硫化エステルで,水分子を吸着し,保湿効果を発揮します。水溶性コラーゲンは角層の水分保持能を上昇させることが知られています。ヒアルロン酸は低湿度環境下においても保湿効果が高いことが確認されています。γ-オリザノールは皮表脂質を増加させ,乾燥症状を改善させます。精製ツバキ油は皮脂との親和性が高く皮表に油膜をつくり角層の水分蒸散量を抑制し保湿効果を発揮します。

米発酵エキス,コレステリルイソステアレート,米胚芽油などを配合した入浴剤にも保湿効果があることが報告されています。

洗顔後やシャワー後あるいは入浴後の皮膚が充分湿って柔らかいうちに,アトピー性皮膚炎のドライスキンを保護するために,保湿性のあるクリームやローション,オイルなどをつけます。炎症のある皮膚には,その部分だけステロイド外用薬、タクロリムス軟膏を主治医の指示にしたがって塗布させてください。

3.紫外線を防ぐこと

皮膚の老化と免疫抑制の二つの点で紫外線を防ぐことが大切です。

アトピー性皮膚炎患者も使用できる低刺激性サンスクリーン製品があります。これらのサンスクリーン製品は光接触アレルギーを惹起する紫外線吸収剤は含まず,微粒子酸化チタンを中心にシリコーンを配合した,落ちにくくて皮膚安全性を考慮した製品です。したがって,これらを除去するためにはクレンジングクリームやクレンジングジェルが必要で,これも低刺激性の製品を選択することをすすめます。

4.刺激性接触皮膚炎

化学物質が表皮を刺激・障害して、サイトカイン、タンパク分解酵素などを放出させ、皮膚炎を引き起こします。(シャンプー・石鹸・イソジン消毒液・外用薬・スキンケア製品・唾液・汗に注意)

ADに合併する接触皮膚炎の診断はまず疑うことから出発する。すなわち,ADの症状が治療によっても予想通り改善しないか,治療中に急性増悪する場合は必ず接触皮膚炎の合併を考慮し,原因となる接触物質の除去と,できればパッチテストやプリックテストを行い原因を確定するとともに,安全に使用できる代替品を選択する。

ADによくみられる接触皮膚炎当科で1994年から1998年の5年間にAD 190例にパッチテストを施行111例中29例(26.1%)が持参した製品に陽性190例中46例(24.2%)が外用薬に陽性陽性率は化粧品のクリーム20%,乳液17.9%,シャンプー15.9%,身体用洗浄剤15.0%,ファンデーション12.8%,化粧水11.9%,顔面用洗浄剤11.1%などであった。鈴木加余子,松永佳世子,ほか:アトピー性患者におけるパッチテスト結果.皮膚,42:増22:49-57,2000

消毒薬による接触皮膚炎AD患者の皮膚の消毒治療に使用されるイソジン液による刺激性接触皮膚炎やアレルギー性接触皮膚炎もしばしば経験する。皮膚科医の立場からすれば,ADの治療にイソジン液を使用する必要性はなく,日常のスキンケアに用いることは賛成できない。早川律子,杉浦真理子:アトピー性皮膚炎,皮膚科診療プラクティス6文光堂,東京,1999,210-216

化粧品による接触皮膚炎化粧品は洗浄剤や保湿化粧品を考えれば,男女や年齢を問わず使用され,ADに合併する接触皮膚炎をしばしば生じる。刺激性接触皮膚炎も多く,アレルギー性皮膚炎も起こす。

ラテックスアレルギー近年,医療従事者を中心に天然ゴム手袋に含まれる蛋白抗原によって,接触蕁麻疹,アナフィラキシー反応を生じる即時型アレルギーであるラテックスアレルギーが問題になっている。AD患者で医療従事者には必ず天然ゴム手袋を装着後数分以内に痒みを生じないか,問診し,対処する必要がある。松永佳世子:ラテックスアレルギー.玉置邦彦ほか編,最新皮膚科学大系3,中山書店,東京,2002,238-241

5.スキンケア化粧品の選び方

接触アレルゲンを含まず、刺激が低く、使用感が良い製品の選択が重要です。

スキンケアの種類 洗浄【清潔のスキンケア】石けん,洗顔料,シャンプーなど汗や汚れなどの刺激物・アレルゲン,微生物などを除去する 保湿【乾燥のスキンケア】保湿クリーム・ローション,入浴剤など清潔のスキンケアのあと,水分と油分を補う 紫外線防御【紫外線に対するスキンケア】サンスクリーン剤皮膚の老化や免疫抑制,発癌の予防を目的に紫外線をカット

スキンケア化粧品の選択ポイント 1.安全性 2.機能性 3.使用感 4.患者さんのニーズに合う 5.皮膚の整理学的な知識やスキンケアの理論に適う 手頃な価格で長く使えるリーズナブルなもの