アレルギー情報館・対策

食物アレルギー対策

アナフィラキシー

アナフィラキシーとは

食物アレルギーで起こる症状の中で最も重症なものがアナフィラキシーです。アレルギーの症状には皮膚や粘膜系、呼吸器系、循環器系、消化器系、神経系の症状があり、それぞれの臓器では軽いものから重いものまで様々な症状があります(*表)。
anafirakishi
アナフィラキシーとはこれらのうちで2つ以上の重い症状が同時に起こったものを指します。たとえば全身のじんましんとぜん鳴が起こったときや、繰り返し吐いて同時に動悸がするときなどがアナフィラキシーにあたります。さらに血圧が下がって、意識がもうろうとした症状もみられたときはアナフィラキシーショックといって、起こったらできるだけ早く適切な処置や治療をしないと生命に危険が生じます。アナフィラキシーショックのことを単に「アナフィラキシー」と省略して呼ぶこともあります。
 
 

原因

即時型アレルギーを起こす食物すべてにアナフィラキシーを起こす可能性があります。その原因として最も多いのは鶏卵です。アナフィラキシーの原因というとピーナッツやそばが多いというイメージがありますが、鶏卵アレルギーは軽症から重症まで含めた人数が一番多く(食物アレルギー全体の約3分の1)、アナフィラキシーを起こした人の中でも鶏卵アレルギーが最多となっています。ピーナッツやそばは即時型アレルギーを起こす人数が少ない(食物アレルギー全体の数%)ですが、鶏卵などと比べるとより重症のアナフィラキシーを起こす人の割合が多いと考えられています。
 
同じ食物に対してアナフィラキシーを起こす場合でも個人差が大きく、加工品をほんの少し食べただけでもアナフィラキシーショックを起こす人もいれば、たくさん食べたときだけ症状を起こす人もいます。
 
食べ物以外にも蜂、ラテックス(天然ゴム)、薬のアレルギーや運動などが原因となることもあります。特に運動の場合には「食物依存性運動誘発アナフィラキシー」といって、特定の食物を食べてから運動をした時にだけアナフィラキシーが起こる方もいます。この場合は食べただけや運動しただけでは症状がないので、最初にアナフィラキシーを起こして初めて食物アレルギーに気づかれることがほとんどです。
 
 

治療

アナフィラキシーは即時型アレルギー症状のひとつなので、症状を起こさないためには原因となるものを食べない(接触しない)ことが必要です。
 
もしアナフィラキシーが起こってしまった場合には、その症状を抑える薬が必要となります。アナフィラキシーの症状を抑える薬として、速効性があり効果も高いアドレナリンの筋肉注射が第一に選択されます。 このほかにじんましんや痒み、鼻水を抑えるための抗ヒスタミン薬(抗アレルギー薬)や、遅れてでてくる症状を予防するためのステロイド薬などの飲み薬を一緒に使用する場合もあります。またアナフィラキシーの症状は一旦治まったように見えてから再び症状がでてくる可能性(二相性反応)もあるため注意が必要です。
 
アドレナリンはアナフィラキシー症状が起こったら、なるべく早く注射すべき薬です。症状が起こったら医療機関を受診する前にすぐ注射できるよう、アドレナリン自己注射液(エピペン®)が世界中に広まっています。平成17年3月から日本でも食物アレルギーの患者さんに処方されるようになったアドレナリン自己注射液は、ペンタイプの薬で1回のみ使用できるようになっています。実際に注射をするのは症状がでている患者本人やそばにいる家族であるため、その可能性がある全員が注射の打ち方を知っておく必要があります。処方を受ける際には医療機関での説明やホームページなどにある動画などをみて打ち方を確認し、いざというときに備えて付属の練習具(トレーナー)で普段から練習しておくのがよいでしょう。
 
園や学校で症状が起こった場合にはその場にいる教職員が打つ可能性もあり、「学校のアレルギー疾患に関する取り組みガイドライン」や「保育所におけるガイドライン」にも書かれているため、現在多くの自治体や学校で研修会が行われています。
 
アドレナリン自己注射液は、アナフィラキシーを起こす危険性が高い人と医師が判断した患者さんにのみ処方されます。現時点では不特定多数の人に使用するための「置き薬」として学校や園単位に処方されることはありません。また他の患者さんに処方された薬を、アナフィラキシーが起こっている別の人に使用することも認められていません。アドレナリン自己注射液は処方されたらカバンに入れて持ち歩く、保健室に置いておくなど常に患者さん本人の身の回りにある状態にしてください。
 
このほかアドレナリン自己注射薬を使用した後は速やかに医療機関に受診しなくてはいけないなどいくつかの注意点があります。詳しくは処方を受ける際に担当医師へおたずね下さい。
 
 

日常生活

原因となる食物と接する機会があれば、園や学校、職場や訪問先、ホテルやレストラン、どこでもアナフィラキシーが起こる可能性はあります。自分や家族が、ある食物でアナフィラキシーを起こす可能性があるならば、薬を携帯するだけではなく「食物アレルギーがある」ということを周りの人に伝えましょう。人に知ってもらうことは自らの身を守ることになります。そして周りの人はアナフィラキシーが起きないために、原因となる食物をその人から遠ざけたり、間違って食べたりしないように注意をしてあげてください。たとえば学校などでは本人、担任、栄養士だけではなく、教職員全員やクラスの同級生にも知ってもらうことも大切です。「アレルギーであることを知られるのが嫌だ」という気持ちで食物アレルギーであることを隠していると、それを知らない友達からアナフィラキシーの原因となる食物をもらって食べてしまう危険性もあります。「隠し通す」よりも「理解してもらう」ことのほうが長い目で見ても患者さんのためになると私たちは考えています。
 
一度アナフィラキシーを経験した場合には、再びアナフィラキシーにならないように原因となった食物をしばらく避ける必要があります。ピーナッツのようになかなか食べられるようにならないものもありますが、鶏卵などのように小さいころアナフィラキシーを起こしたものでも、成長とともにアレルギー症状が出なくなる可能性が高いものもあります。また最近では経口減感作療法という新たな治療法も試みられています。しかし自分で食べられるのかどうかを判断するのは危険ですから、専門の医師に血液検査や食物負荷試験などを通してしっかり判断してもらうようにしましょう。


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