アレルギーっ子の災害対策

東日本大震災から学ぶ

支援活動(2012年度報告)

【アレルギー相談】

岩手県気仙地域には、十分な診断を受けないまま食物除去を続けている子どもや、喘息・アトピーのコントロールが不十分な子どもが少なからず存在していた。専門的な知識と経験を持ったアレルギー専門医が地域住民のアレルギー相談を行うことで、不必要な食物除去や不十分な治療状況にあるアレルギー疾患児を見いだして、地域の医療機関で診断・治療を受けることが必要であった。一方、岩手県気仙地域にはアレルギーの専門医が不在であった。そこで、アレルギーの診療に意欲のある地域の若い小児科医と一緒に活動することで、専門的な力を育成して継続的な診療レベルの向上に資すること目的として、岩手県気仙医療圏(大船渡市、陸前高田市、住田町)において、県立大船渡病院渕向先生をはじめ地元の医療機関や子育てサポーター「スマイル」、大船渡市、陸前高田市などの関係機関のご協力を得て、7月~11月に計6回の「アレルギー相談」を行った。
大船渡市 7/8.8/19.10/7.11/11(県立大船渡病院・吉浜地区拠点センター・大船渡市保健介護センター)
陸前高田市 9/2. 10/8(高田竹駒地区コミュニティーセンター・自然環境活用センター)
担当医:あいち小児保健医療総合センター・アレルギー科医師 伊藤浩明・漢人直之
参加者合計 延べ58人
このアレルギー相談をすすめる中で、喘息用吸入器、スキンケア用品、寝具等の改善支援を求める患者についてはアレルギー支援ネットワークとして可能な生活支援もおこなった。その後、大船渡病院及び岩手医大小児科に所属する医師3人が、アレルギー相談及び診療を見学され、そのうち1人は、あいち小児保健医療総合センターにおいて約1週間のアレルギー研修を受けた。
 
 

【アレルギー講演会】

釜石ブロック保育所等協議会の要請を受け、7/14に、保育所全職員対象に「アレルギーに関する研修会」を行い、約60名の参加があった。講師は、同愛記念病院・小児科医師 増田敬先生に務めていただいた。
 
 

【仮設住宅など住まいの環境調査】

東北沿岸地域は喘息患者も少なくなく、震災後は喘息はじめアトピー患者の症状悪化が指摘された。このため、環境が大きく影響するアレルギー症状の悪化を防ぎ、健康増進を図る目的の一助として、9地域の仮設住宅(気仙地域)において、30世帯(呼吸器疾患患者を含む)を対象に、2012年9月から2013年3月にかけて「住まいの環境(モニター)調査」をおこなった。また、調査期間中、患者の要請に応えて喘息用吸入器、マスク、アトピー性皮膚炎用肌着、「ダニとりマット」など必要な生活支援も同時に行なった。
本調査により、仮設住宅の「結露」とそれによる「カビ」や「ダニ」の被害による様々な課題が改めて浮き彫りになった。そこで、引き続き2013年8月まで調査を継続し、1年間を通した調査結果をまとめ、気仙地域の関連部署に報告し、仮設住宅の住民の健康増進をはかることとした。
 
 

【2013年度の活動】

2013年度は、引き続き、アレルギー患者支援として「アレルギー講演会」や個別相談、患者をサポートする専門職への支援として、「アレルギー勉強会」「インターネットアレルギー講座」の無料配信、仮設住宅の環境調査、岩手県内の若手の小児科医への研修支援などの事業を計画している。
追記
東日本大震災の発生直後からアレルギー患者の支援活動に奔走したアレルギー支援ネットワーク理事の栗木成治は、進行性癌の治療を受けながら2012年12月まで大船渡を拠点に活動を継続しておりましたが、2013年4月5日に永眠いたしました。皆さまからいただきましたご厚情、ご支援に心より感謝申し上げます。ありがとうございました。
 
 


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